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TOPお葬式の豆知識沖縄の伝統文化沖縄に古くから伝わっている風葬と洗骨ってどんなもの?
2024/06/01 沖縄の伝統文化

沖縄に古くから伝わっている風葬と洗骨ってどんなもの?

かつて日本の埋葬方法は土葬が一般的でしたが、衛生面や土地不足の観点から近年では火葬が主流になっています。火葬後は、骨壺をお墓に入れて埋葬するのが多くの人が執り行っている埋葬方法だと思いますが、最近では海に粉末状の遺骨を散布する海洋葬や樹木の根本に埋める樹木葬、大気圏まで打ち上げて散布する宇宙葬や遺骨をダイヤモンドに変えるなど、納骨に代わる様々な弔いの方法があります。

沖縄には古くから風葬洗骨といった伝統的な葬送儀礼を執り行ってきました。もちろん近代の都市部では行われることはありませんが、沖縄の自然環境や社会構造、信仰体系に深く根ざしている葬送方法で本土とは一線を画した葬送文化でしょう。地域によっては未だに風習として残っている風葬と洗骨とは一体どのようなものなのかを見ていきましょう。

・風葬とはどんな葬送方法?土葬との違いは?
・風葬と洗骨の文化的背景

・まとめ

風葬とはどんな葬送方法?土葬との違いは?

風葬とは沖縄の伝統的な葬送方法の一つで、風雨や動物などの自然の力に委ねて遺体を風化させて骨になるのを待つという葬送方法です。遺体を自然に風化させる方法としては土葬と少し似ていますが、土葬は、土地を専有してしまうことや遺体が感染症を持っていた場合には、土壌や地下水などに浸透して周辺の健康被害に繋がるリスクもあります。似たような葬送スタイルとしては、チベットなどで執り行われている鳥葬があります。鳥葬は鳥に食べさせて風化をさせる葬送方法になりますが、風葬や土葬と同じように人は死んだら自然に還るといった思想に基づいた文化であることがわかりますね。

◇具体的な風葬の手順

  1. 遺体の準備:亡くなった人の遺体を、まずは洗浄して清めていきます。その後、白装束を着せます。
  2. 葬送の場所:遺体を特定の風葬場(風葬地)に運びます。この風葬場は通常は村の外れや山間部などの風通しの良い場所が選ばれます。
  3. 遺体の配置:遺体は石室や洞穴などに安置されます。石でできた簡易な棺や石垣に囲まれた場所に置かれることもあります。
  4. 自然の力で骨化する:遺体は自然に腐敗し、骨だけが残るまで風にさらされます。この過程は数か月から数年かかることがあります。


◇具体的な洗骨の手順
風葬の後は洗骨です。洗骨とは、風葬によって骨化した遺骨を洗い清める儀式です。風葬の後、数か月から数年を過ぎた遺骨が完全に骨化すると、家族や親族が集まって洗骨の儀式を行うこととなります。洗骨の過程は以下の通りです。

  1. 遺骨の収集:風葬地から遺骨を集めます。この作業は遺族や村の共同体によって行われることが一般的です。
  2. 遺骨の洗浄:遺骨は清水や海水を用いて丁寧に洗浄されて清められます。これは、遺体が物理的にも精神的にも清浄な状態に戻ることを意味します。
  3. 納骨:洗骨が終わった遺骨は、新しい骨壺や墓に納められます。これにより、亡くなった人の魂が安らかに眠ることができると信じられています。

洗骨は、風葬によって風化した遺体を風葬場から収集して、村や一族などの共同体で洗浄してから納骨するというものです。「骨を洗う」と考えると少々不気味に感じるかもしれませんが、故人に対して敬意と感謝の気持ちをみんなで共有して、次世代に想いを継いでいくための大切な儀式だとされています。

風葬と洗骨の文化的背景

風葬と洗骨は、沖縄の伝統的な信仰において独自の宗教観や自然観に基づいて執り行われます。沖縄の人々は自然との調和を重んじ、死者は再生や浄化のために死後の世界へ向かい、そこで安らいだ魂が新たな生命として再生していくという思想を持っています。そのため人生全体を自然の一部として捉える傾向があるのです。その文化的背景をいくつか紹介していきましょう。

  1. 自然との共生:風葬と洗骨は自然の循環に身を委ねるという考え方に基づいています。遺体を自然に返し、風や雨の力で骨化させることで、自然の一部としての人間の存在を再確認します。
  2. 共同体の絆:洗骨の儀式は、遺族や村の共同体が一丸となって行うことで、共同体の絆を強めます。これにより、亡くなった人への敬意と感謝の気持ちを共有し、次世代へと伝えていきます。
  3. 祖霊信仰:沖縄では先祖の霊が子孫を守り導くと信じられています。風葬と洗骨は、先祖の霊を敬い適切に扱うことで、家族の繁栄と安全を願う儀式でもあります。

明治時代になってからは「風葬は死体遺棄罪に該当する」という理由で風葬は廃止され、その代わり、遺体を土葬をして3~7年後に遺体を掘り起こしてから洗骨を行うという洗骨葬に変化したといわれています。

現代の沖縄では風葬と洗骨の風習はほとんどなくなってしまい火葬が一般的になっています。それでも、一部の地域や家庭では今もなお伝統が次世代へと伝えられています。

まとめ

沖縄の自然風景

沖縄の自然環境や文化的背景に根ざした、独特な葬送儀礼である風葬と洗骨について理解できたでしょうか。これらの習慣は、自然との共生、共同体の絆、祖霊信仰といった沖縄特有の価値観を反映していますが、現代では火葬が一般的になりつつあるので、沖縄生まれの人でもなかなかその伝統を知る人も少なくなっています。

表向きには「地域の共同体の絆を深める」という名目で行われていた洗骨でしたが、実際に骨を洗うのは、故人の肉親の女性長男の嫁が行うものとされていたため、女性にとっては残酷で衛生的にも過酷な儀式だという声も上がったため、戦後に沖縄県の女性解放運動の流れとともに廃れていきました。ただ、現在でも年配の人の中には風葬と洗骨での葬儀を望む方もいるほど、根強い信仰があることもまた否めません。