お葬式の豆知識
ご遺体を自宅に安置するとき、家族が行う5つのこと
沖縄では、昔ながらの自宅葬は今でも少なくありません。そのため、病院で亡くなったご遺体を自宅に搬送して安置する家も多いでしょう。
今回は、そのようなご遺体を自宅に安置する際に家族が気をつけなければならないことについて見ていきましょう。
・病院で臨終が確認された場合
・自宅で臨終が確認された場合
・自宅に遺体を安置する場合に準備すること
・まとめ
病院で臨終が確認された場合
病院で臨終が確認された場合、末期(まつご)の水や清拭(せいしき)、エンゼルケアなどの死後のお世話や儀礼は、病院で看護師や病院が提携している業者が行ってくれます。
一連の死後に行う儀礼を終えた後は遺体は霊安室へと運ばれます。
・病院の霊安室は長くて24時間、短い場合だと数時間で搬送しなければなりません。その間に葬儀社を決めて、遺体の搬送を依頼しなければなりません。
病院で紹介してもらった葬儀社に遺体の搬送のみをお願いすることもできますが、事前に決めておいた葬儀社があれば葬儀までお願いしやすいので、その後をスムーズに進めることができます。もちろん病院で紹介してもらった葬儀社にその場で葬儀までお願いしても問題ありません。
◇その棺桶はエレベーターに入るのか?
病院から自宅に遺体を搬送する場合に気をつけなければならないのは、マンションやアパートであればエレベーター環境などが「搬送できるか」を確認する必要があるという点です。通常のエレベーターは、そのままでは棺桶が入りません。管理会社に相談すれば、棺桶用の小窓を開けてくれるか他の搬入経路(救急搬送時にストレッチャーを入れる経路など)を開いてくれることもあるので、病院から自宅にご遺体を搬送する可能性がある場合には事前に確認しておきましょう。
自宅で臨終が確認された場合
本人が生前から自宅葬を希望していた場合、最期の穏やかな時間をサポートする「ターミナルケア」で自宅療養に入っていることもあります。
故人が自宅で臨終を迎えた場合、危篤状態の時からかかりつけ医(訪問医)に連絡を取り、臨終を確認した後に死亡診断書をもらいます。
①お箸に脱脂綿を大きな球のように巻きつけ、糸で固定
②水を汲んだお椀に①の脱脂綿を付けて濡らす
③脱脂綿を故人の口に付ける
・上唇→左から右へ
・下唇→左から右へ
④看取った人々が順番に末期の水を取る
⑤最も故人に近しい人が、顔を拭き取る
・額/鼻/顎…
お箸の先に脱脂綿を付ける方法が一般的ですが、綿棒や筆などを使用しても問題ありません。
末期の水を取ったら、死後硬直が始まる3時間以内に体を拭き清める清拭を行い、生前のような姿になるよう、お化粧などを施します(エンゼルケア)。
自宅に遺体を安置する場合に準備すること
①安置場所の用意
自宅で遺体を安置する場合、仏間のお仏壇の前にご遺体を寝かせるのが一般的です。もし仏間が無い場合は、畳間や家奥の落ち着いたスペースが好ましいでしょう。また、生前に好んで過ごしていたリビングや部屋、洋間でも自宅で遺体の安置はできます。もし枕元で読経供養(枕経)をお願いする場合は、僧侶に枕経の依頼をしてください。
全国的には自宅に遺体を安置した後、枕元でお坊さんが読経供養する「枕経」を行ってきました。今では沖縄でも、枕経を依頼する家があります。
②薄い掛け・敷布団を敷く
薄い掛け布団、敷布団をそれぞれ1枚のみ敷きます。薄い布団には理由があって、日本では遺体に何枚も布団を「重ねる」ことは「不幸が重なる」として忌み嫌われています。また遺体はできるだけ冷たい環境に整えなくてはいけません。
さらに、布団の向きを逆さにして敷くという決まりがあります。正しい位置で眠るのは「この世事」、逆さにすれば「あの世事(逆さ事)」になるため、故人の布団は逆さ向きで準備をします。昔の人々はこのようにしてあの世とこの世を区別してきました。逆に普段敷く時に逆さに敷いてしまうと不吉になってしまうので気をつけましょう。
枕の向きとしては北枕が全国的にも有名です。これはお釈迦様が入滅(臨終)された頭の向きであることに由来しているのですが、沖縄では西枕が主流です。沖縄では太陽の沈む西の方角は、人生の終わり(イリ)を意味します。これを沖縄の方言ではイリマックァ(終わり枕)と言います。
③室温を整える
遺体を安置する時に目安となる室温は18度以下です。冷房で冷やすと室内が乾燥しやすいですが、加湿器は室温を上げてしまうため控えましょう。葬儀までの期間によっては、ドライアイスを入手して遺体のお腹周りに挟むように設置しつつ早めに棺に納棺することで、より保冷環境を整えることができます。なおドライアイスの入手については葬儀社スタッフに相談するとよいでしょう。
・一般的には、適切な保冷環境が整っていれば7日間は安置できると言われていますが、4日目くらいには霊安室などへ移す選択をおすすめします。
④枕飾りを供える
故人の枕元に供えるお供え物のことを枕飾りと言います。お通夜を行うまでの仮祭壇として扱われ、お通夜や葬儀までには本祭壇を整えます。枕飾りは基本の三具足である、香炉(こうろ)・燭台(しょくだい)・花立てが全国的な基本ですが、宗旨宗派や地域性で変わってきます。
・お水(ミジトゥ)
・お茶(ウチャトゥ)
・お酒
・お箸を差した山盛りご飯(チャーシウブン)
・味噌
・お塩
・茹でた豚の三枚肉(7枚×2皿)
・すまし汁
・団子(ダーグ)(7個×2皿)
この他、地域によって白いまんじゅうや果物を供えます。
⑤神棚封じを行う
自宅に神棚がある場合は、自宅に遺体を安置する前に「神封じ」を行います。神封じの方法は、神棚の扉を閉じて扉をまたぐように半紙を貼ります。神道においては「死は穢れ(けがれ)」の概念があるためです。葬儀社に依頼するのであればある程度は整えてくれますが、神封じは家族が行います。
神道に近い独自の信仰を持つ沖縄では、その昔、自宅まで遺体を歩いて搬送するに当たり、天の神様の目に触れぬよう、黒傘を差して移動しました。
まとめ
自宅にご遺体を安置するときに家族がやるべき5つのことについて見てきましたがいかがだったでしょうか?病院で亡くなった場合と自宅で亡くなった場合で少々準備が違いますし、自宅の場合はある程度用意しなければならないものも出てきます。
いずれにしてもご本人が納得できる場所が一番だと思いますので、元気なうちに希望を聞いておき、安心できる場所で最期の時を迎えさせてあげましょう。
①安置場所を用意
②薄い掛け・敷布団を敷く
③室温を整える
④枕飾りを供える
⑤神棚封じを行う