お葬式の豆知識
【2024年版】沖縄の秋のお彼岸はいつ?どんなことをする?
「お彼岸」とは一年の中で昼と夜の長さが等しくなる日のことで、あの世(彼岸)とこの世(此岸)が近づく日とされています。もともとは本土から伝わってきた風習であるため、新暦の春分の日、秋分の日を基準に行われています。
本土ではこの時期にお墓参りをすることが良しとされていますが、沖縄でのお彼岸はどのように行われているのでしょうか。今回は沖縄での秋のお彼岸についてみていきましょう。
お彼岸の行われる時期
お彼岸は前述のように本土から伝えられてきた風習であるため、新暦の春分の日、秋分の日を基準とした前後3日間、合計7日間の時期を指します。2024年では9月19日(木)から25日(水)がその時期にあたります。沖縄の言葉では秋のお彼岸のことを「八月彼岸(ハチグァッチヒガン)」とも呼ばれています。
沖縄のお彼岸はお墓参りに行くの?
沖縄では頻繁にお墓参りに行くことをあまり良しとしません。年間でお墓参りに行くのは旧暦の1月16日にあたるジュールクニチー(十六日)、4月に親族が盛大に集まるシーミー(清明祭)、旧暦の7月7日にお盆の到来をご先祖様にお知らせする七夕の3回が基本となります。
その理由は、周囲のお墓の霊魂が羨ましい思いをしたり、寂しい思いをしたりする、とかむやみにお墓に行くと悪い霊魂がついてしまうといった言い伝えがあるからだそうです。また、仏壇とお墓は繋がっているという考えから、わざわざ行かなくても仏壇を拝めば充分だとの考えもあるようです。
・お墓参りには誰が行く?
沖縄では頻繁にお墓参りに行くことはあまり歓迎されません。ただ、一部の地域ではお彼岸の時期に門中墓の代表者ら数人だけでお墓参りに行き、ヒラウコー(沖縄線香)を家族の人数分、香炉に焚べて拝む家もあるようです。
門中墓とは中国の風習で、「父方の血を引く」血族だけが眠るお墓のことです。父方の血を引いている多くの親族が入るためにその人数も多く、お墓もそれに応じて大きなものになっています。
・お墓に行く前、帰ってきたら仏壇に拝む
お墓に行くのは代表者らが最少人数で行きますが、お墓参りに向かう前、そして帰ってきてからそれぞれ家族全員で仏壇にお供え物をして拝みを捧げます。それでは、お彼岸に各家庭でどのようなお供え物と拝みを捧げているのか、具体的にみていきましょう。
沖縄でのお彼岸の拝み方
沖縄のお彼岸では、ヒヌカン(火の神)と仏壇にお供え物をして先祖を供養する習わしがあります。ヒヌカンとは、火の神様で「かまどの神」や「家の神」とされ、台所や火を司る神様として主に女性が拝む家の守り神のことです。拝む順番は①ヒヌカン→②仏壇の順番で拝みましょう。
①ヒヌカンへの拝み方
当主がヒラウコー(沖縄線香)をタヒラ(二片=12本)と半ヒラ(一片を溝に沿って半分に割ったもの=3本)を供えて、グイス(拝みの言葉)を唱えます。グイスの内容は家によってさまざまですが、主には「本日が秋のお彼岸であること」、「これから拝みを捧げる旨の報告」、「家族の健康と安全への見守り」を伝えます。
②仏壇への拝み方
お供え物をして、その上にウチカビを当主は5枚、それ以外は3枚供え置きます。それから当主はヒラウコーをタヒラ供え、ご先祖様に向けて「家族の健康と安全への見守り」、「家庭円満」、「子孫繁栄」のグイスを唱えます。続けて、子どもや孫はヒラウコーを半ヒラ供え、日頃の感謝をお伝えし、拝みます。
ヒヌカンと仏壇に拝みを終えたら、専用の金属のボールと箸でウチカビを当主から順番に誰からのウチカビかを報告しながら焚いていきます。焚き終えたらお酒を掛けて火を消します。全員終えたら、ウチカビの灰は先祖への奉げ物として供えられている花を添えて、屋外で鉄ボウルをひっくり返します。
すべて終えたらウサンデー(お供え物を下げること)をして、家族みんなで用意したご馳走をいただきましょう。
お彼岸の「ご馳走」と「お供え物」
お彼岸には、ヒヌカン(火の神)と仏壇にお供え物(ウサギムン)を用意しますが、どのようなものを用意すればいいのでしょうか。
沖縄では、清明祭や旧盆などご先祖様を拝む盛大なイベントには、重箱料理の「ウサンミ(御三味)」を用意してお供えしますが、お彼岸でもお餅重とおかず重の二重(カタシー)を用意します。
ただ、お彼岸では「お供えができれば十分」という考える家も多いので、ご馳走を取り分けた「ウチャワキ(お茶脇)」をヒヌカンと仏壇にそれぞれお供えします。また、仏壇にはお菓子の盛り合わせ(ムイグァーシ)、果物盛り合わせ、お餅などもお供えします。
以下にヒヌカンと仏壇へのお供え物の一例をご紹介します。
<お彼岸のお供え物一例>
▼ヒヌカン
・お酒、盛り塩
・ウチャワキ(ご馳走の品を奇数分)
・お線香(タヒラと半ヒラ)
▼仏壇
・お茶、お酒
・果物の盛り合わせ
・ウサンミ(重箱料理)
・お餅
・ムイグァーシ(お菓子の盛り合わせ)
・ウチカビ(当主:5枚、その他:3枚)
・お線香(当主:タヒラ、その他:半ヒラ)
まとめ
沖縄の秋のお彼岸についてはわかりましたか?地域や立場によってお墓参りに行くかどうかはさまざまですが、家族揃ってご先祖様に感謝をお伝えする時期であることには違いありません。
せっかく家族が集まれる機会ですので、大切に執り行いましょう。今年は9月19日(木)から25日(水)になりますので、各家庭で行事を行う場合は早めに準備をしておくと安心できますね!