お葬式の豆知識
「自宅葬」の注意点と葬儀社へ依頼するときのポイント
「自宅葬」とは文字通り自宅を会場にして執り行う葬儀のことで、昔から一般的には行われていましたが、近年再び注目を集めています。その理由は感染症の流行や高齢者遺族への負担を軽減するためなどと言われています。ただ、昔と違い自宅葬を行う際には現代ならではの注意点があります。
今回は自宅葬を選ぶ際の注意点と葬儀社に依頼するときのポイントをお伝えします。
沖縄で再び自宅葬が選ばれている理由とは?
「自宅葬」は自宅を葬儀会場とするため、ご遺族としては時間にゆとりをもって、自由にお通夜や葬儀を執り行うことができるメリットがあります。現代では、喪主やご遺族に高齢者がいるため、体力や安全面も考慮して自宅を葬儀会場とする事例が増えました。
今では減ってしまいましたが、故人を囲んで夜通し偲びたいというお通夜を執り行う場合にも自宅葬が便利です。
今と昔の自宅葬の違い
沖縄では古くから自宅葬が一般的でした。そもそも昔は沖縄に限らず全国的にも葬儀社が広まっていなかったこともあり、近所や集落の人たちが協力し合って葬儀を執り行うのが常でした。
しかし、現代では集落の人々が相互扶助で葬式を行うような関係性や文化も薄れてしまったことや、ご遺族が自分たちだけで全てを手配する手間も負担です。さらに葬儀社からの予約しか受け付けない火葬場があるため、自宅葬といえども葬儀社に依頼するのが当たり前になっています。
現代の沖縄で自宅葬を選ぶ注意点
沖縄では、まだ葬儀社が一般的ではなかった頃から自宅葬は行ってきました。ただし、昔の沖縄の家は大きな縁側がある平屋の間取りが一般的だったため、葬儀スペースをことさら気にすることはありませんでした。
ただし現代では分譲マンションや集合住宅などの生活が一般的になっているので、自宅葬を行いたくても自治会(分譲マンション)や管理者(賃貸マンションやアパート)の許可がおりない場合もあるため注意が必要です。
注意するポイントは①葬儀スペースや祭壇の置ける場所の確保、②参列者のための駐車スペースの確保や移動車の手配、③自治会や地域住民の了解、の3つです。③は集合住宅などの場合、喪服の参列者が大勢訪れるのを快く思わない住人もいるかもしれないので注意が必要です。
<自宅葬を選ぶ注意点>
①自宅の環境
・葬儀の規模に合わせたスペースの確保
・祭壇が置ける場所
②駐車場スペース
・参列者の駐車場スペース
・移動車
の手配
③自治会や地域住民の了解
沖縄の場合、火葬を先に済ませる文化があるので、焼骨後のご遺骨を前にした葬儀を進めることが多いのですが、もしご自宅よりご出棺を考えているのであれば棺の移動にも注意が必要です。
棺は考えているよりも大きいので、④棺の出し入れができる間取りかどうか、⑤棺が充分に入るスペースがあるか、⑥霊柩車を駐車するスペースの有無、火葬のタイミングによっては確認しておきましょう。
沖縄の自宅葬を葬儀社に依頼するポイント
自宅葬を行うには、病院の霊安室からご遺体を搬送する際の搬送先が自宅になるため、この時点で葬儀社を選び契約をしなければなりません。故人の意向もあると思いますので、事前に自宅葬に対応している葬儀社を調べてプランを比べておけると良いでしょう。
<自宅葬を葬儀社に依頼するポイント>
①自宅葬に対応しているか
②セットプランでは何が含まれているか
③小さな葬儀場の提供プランもある
小規模で執り行えると考えがちな自宅葬だとしても、個々に契約するよりも当然ながらセットプランの方が安くなっていることが多いでしょう。ただ、全ての葬儀社がセットプランを明瞭に明記しているとは限りません。相見積もりを取るならば、より細かく記載していたり、HPやパンフレットでセットプランの詳細を明記している葬儀社のほうが安心です。
①自宅葬に対応しているか
自宅葬を探す場合、「家族葬」プランを参考にするケースが大半です。沖縄でも全国的にも、自宅葬は一般的に約28万円ほど〜のセットプランですが、僧侶の読経供養の有無など、「家族葬のセットプラン+オプション(実費)」を選ぶ方が多いでしょう。
自宅葬全体の目安としては、僧侶へのお布施(読経供養)/火葬代/自宅会場への看板/受け付けセット/振る舞い費、などの細かいオプションが含まれて、最終的には約65~80万円ほどの費用となる場合があります。
②セットプランでは何が含まれているか
自宅葬プランでは葬儀会場が自宅になるため、パック料金を提示してくる葬儀社が多いでしょう。ただし、セットプランだけでまかなえる葬儀はほとんどありません。特に自宅葬の場合、ご遺族によるニーズが細かくなりがちです。オプションを広く取るプランが提示される場合もあるので、葬儀社選びの段階で、そのセットプランに何が含まれ、何が含まれていない(オプションになる)のか、明瞭に提示してくれる葬儀社を選ぶようにしましょう。
③小さな葬儀場の提供プランもある
自宅葬は理想的ですが、喪家としては葬儀スタッフに全てを任せることもできず、葬儀後の片付けや掃除は自分たちで行わなければならないため負担は少なくありません。自宅葬を選ぶメリットは、何といってもアットホームな雰囲気の中で時間を気にせずに故人をお見送りできることでしょう。ただし、自宅はプライベートスペースなので、葬儀会館でのお通夜や葬儀のように全てを葬儀社スタッフにお任せすることは難しい点があります。
もし、重きを置くのが「アットホームな雰囲気で故人を送りだせる」という点であれば、規模の小さい葬儀会場で「自宅葬のような雰囲気で送り出す葬儀」を提供してくれる葬儀社もありますので検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
「自宅葬」の注意点と葬儀社へ依頼するときのポイントはいかがでしたか?自宅葬を執り行う場合、葬儀社スタッフに全てを任せきることは難しい場面も少なくありません。そのため自宅葬では隣近所や故人と近しい友人知人などに「世話役」をお願いして、葬儀を手伝ってもらうことが多いです。
沖縄では葬儀社に自宅葬を任せながら、葬儀後の振る舞い(飲み物や食事の提供)や掃除などを世話役の人に任せることはよくありますので、自宅葬を選ぶ場合には検討してください。