お葬式の豆知識
家族葬で香典辞退とされたら?迷惑にならない弔意の伝え方やマナーや注意点
小規模で執り行う家族葬では、香典を受け付けない「香典辞退」のスタイルも近年では増えてきました。ただ、参列者にとっては失礼に当たるのではないか、それに代わる何かが必要では?と不安になってしまいますよね。
今回は、家族葬などで香典辞退を受けた時の適切な対応やマナー、避けたいタブー、注意点について確認していきましょう。
家族葬の「香典辞退」とは?
「香典辞退」とは、通夜や葬儀、弔問などにおいてご遺族が香典を辞退すると宣言することで、主には家族葬などの小さな規模での葬儀で言われることが多いです。沖縄では新聞のお悔み欄で訃報に触れるケースが多いですが、限られた人数で執り行う家族葬では、参列して欲しい人に通夜や葬儀の案内状をご遺族が送ることが多いケースです。
<香典辞退を知らせる文面とは?>
・故人の遺志で 香典は遠慮しております
・家族葬により ご厚意は辞退させていただきます
香典辞退のお知らせは、訃報ハガキや葬儀の案内状などに明記されていることが多いです。届いた案内に上記のように記載されていたら参列者は香典を持参せずにお焼香に伺うようにしましょう。
どうして家族葬で香典辞退をするの?
そもそも香典には相互扶助の役割があります。通常の規模で葬儀を行うとそれなりに費用がかかりますが、喪家はその時に受け取った香典で葬儀費用を捻出することができます。ただ、近年では小規模で執り行う家族葬が増えてきました。家族葬では小規模のため会場費や設営などの費用も少なくて済みます。また、参列者が多くないのであれば香典返しも手間になるため、香典辞退をすることで双方の手間を省くことができます。
葬式に関する全国調査にて「香典を受け取る」と答えた人の80%がその理由を「葬儀費用に充てるため」と答えました。対して家族葬を執り行った人が香典辞退をする理由については下記のような回答結果になりました。
<なぜ家族葬で香典辞退をするの?>
・香典返しが大変…33.3%
・負担を掛けたくない…25.8%
・家族だけで済ませたい…16.1%
九州・沖縄地方では「互いのやり取りがあるため」香典を受け取る喪家が多い反面、遠方から通夜や葬儀に駆け付ける参列者に対して「わざわざ来てくれる参列者に負担を掛けるのが忍びない」との答えもありました。
[参考]2022年鎌倉新書「第5回お葬式に関する全国調査」
家族葬で香典辞退されたら、弔意の表し方は?
家族葬で香典辞退を受けたら、参列者はご遺族の意向に沿いお悔みの言葉に留めておきましょう。ただし、香典辞退を受けても「何とか弔意を伝えたい」と思うのであれば弔電や供花、供物などを送ることで弔意を表すとよいでしょう。
特に家族葬の案内を受けたのに葬儀に参列できない場合では、ご遺族に参列できない旨をできるだけ早く伝えた上で弔電を送るようにしましょう。
◇弔電を出す
葬儀当日、斎場宛てに弔電を送ります。 弔電はNTTが提供するD-MAILというサービスを利用するか、115番に電話をすれば受け付けてくれます。
◇供花で弔意を表す
供花で弔意を表すことも可能です。供花には枕花や花輪、フラワーアレンジなどさまざまなタイプがあります。一般的に個人で送る供花はフラワーアレンジが多いでしょう。供花は斎場や葬儀社、ご遺族に了承を得た上で、葬儀会場宛てに、花屋さんに注文すればOKです。指定の生花店などがあれば確認しておきましょう。
ただし、葬儀で飾る花々が統一される場合もあるので、予め葬儀社や斎場、ご遺族などに連絡をして、適切な供花を送るようにしましょう。
◇供物で弔意を表す
供物の予算は約2,000円~5,000円程、果物や焼き菓子などの他、故人へ供えるお線香やロウソクなどでも良いでしょう。供物を持参・送る場合もご遺族に了承を得ると安心です。
供物は通夜や葬儀を過ぎてもご自宅へ送ることができますが、ご遺族は法要の準備やさまざまな手続きで慌ただしい日々を送っていますから、事前に到着日時を伝えると良いでしょう。
供物や供花も辞退された場合は?
香典辞退をする喪家では、供物や供花も辞退することも少なくありません。このような場合、葬儀の案内状に「供物や供花の儀は遠慮しております」「ご厚意辞退申し上げます」などの旨が明記されているのであれば、香典を含めた全てのものを辞退するとの意があるため注意をしてください。
その際はご遺族の意向に沿い、お悔みの言葉や弔電のみとします。ご遺族としては家族葬で香典辞退は、香典返しの省略が目的ですが、これは供物や供花に対しても同じです。香典、供花、供物、全てのご厚意に対して、いただいた金額の約1/2~1/3ほどの金額相場で香典返しを送らなければならないためです。
それでもどうしても香典や供花などを送りたい場合には「香典返し辞退」の手紙を添えるのも一案です。ただし、それもご遺族に余計な気遣いをさせてしまうため、できる限りはご遺族の気持ちに寄り添った方が良いでしょう。
家族葬で香典辞退を受けた時の注意点
家族葬で香典辞退をするということは、できるだけゆっくりと故人を偲びたい気持ちが強いはずです。家族葬に案内されるということは生前に故人と近しい関係性にあるため、何らかの厚意を伝えたい気持ちは分かりますが、まずはご遺族の気持ちを汲みましょう。
弔意を伝えるには手紙だけでも問題はありません。まずはご遺族へ相談をして、許可を得てから送るようにしましょう。
まとめ
家族葬の香典辞退について理解できましたか?香典辞退の申し出を受けたら、まずはご遺族の気持ちを優先します。
家族葬とはいえ葬儀費用は何十万と掛かるはずですが、それでも香典辞退を決めるに至った心中を察すれば、金銭的負担はあっても、ゆっくりと故人を弔いたい気持ちが強いと想像できるはずです。まずはご遺族の気持ちを汲み「何もしない」ことが何よりの心遣いになるでしょう。弔意の伝え方には、ご遺族が知らない故人の生前の楽しい思い出話もありますし、お手紙ひとつでも弔いになるはずなので配慮するようにしましょう。